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金魚の産卵床・稚魚飼育用品の選び方
金魚を繁殖させてみたいと思ったときに、まず何を用意すればいいのか。産卵床にする水草・浮草の選び方と、針仔・青仔・黒仔と呼び名が変わっていく稚魚の育て方、めだかより水量が要るという金魚ならではの事情をまとめました。
春先に、金魚が水草をつつきはじめて気づきました
金魚を飼いはじめて2年目の春、朝の水槽をのぞいたら、いつもより明らかに落ち着きがない。 2匹が追いかけっこのようにぐるぐる回っていて、水草の根元をしきりにつついています。 最初は「けんかでもしてるのかな」と思っていたのですが、あとから調べたらこれが産卵の前ぶれ(追尾)でした。そのときは何の準備もしていなくて、 せっかく産んでくれた卵をほとんど無駄にしてしまい、いまだにちょっと悔いが残っています。
金魚の繁殖って、正直めだかより手間はかかります。でも針の先みたいな稚魚が、 数か月かけてちゃんと金魚の形になっていくのを見るのは、他ではなかなか味わえない おもしろさでした。ここでは、私が「先に知っておきたかった」と思った準備と用品を 順番に書いていきます。
まずは産卵床。金魚は水草や浮草の根に卵を産みつけます
金魚は水中にばらまくのではなく、細かく分かれた葉や根に卵をくっつけるように産みます。粘り気のある卵で、触れたところにぺたっと付くイメージです。 なので、卵が絡まる足場を先に入れておかないと、卵は水槽の底やガラス面に散らばって、 そのまま親に食べられるか水カビにやられてしまいます。
用意するものは、だいたい次のどれかです。
- カボンバ・マツモなどの細かい葉の水草 — 定番です。葉が細かく枝分かれ しているぶん卵がよく絡みます。ただし金魚は水草を食べます。これは本当によく食べます。 産卵床のつもりで入れた水草が数日でスカスカになったときは、さすがに笑ってしまいました。
- ホテイアオイなどの浮草 — 水面から垂れ下がるひげ根に産みつけます。 屋外の容器なら日照もあってよく育つので相性がいいです。逆に室内だと光量が足りず 弱りやすいので、あまり長持ちしない前提で考えたほうがいいと思います。
- 人工産卵藻 — 私が今いちばん使っているのはこれです。枯れない、食べられない、 使ったあとに洗って何度でも使える。生きた水草の風情はありませんが、 「卵を確実に回収する」という目的だけを考えるなら圧倒的にラクでした。
見た目にこだわりたいなら水草、確実さを取るなら人工産卵藻。私は水槽の隅に人工産卵藻を 沈めておいて、産卵が終わったらそれごと取り出す、という使い方に落ち着きました。
Amazonで「金魚用の人工産卵藻」を見る孵化したら、まずは「針仔(はりこ)」と呼ばれます
ここが金魚らしくておもしろいところなのですが、金魚の稚魚は成長段階によって 呼び名が変わっていきます。最初にこれを知ったとき、なんだかブリの出世魚みたいだなと 思いました。
- 針仔(はりこ) — 孵化直後、体長3mm〜1cmくらい。まさに針や糸くずの ような見た目で、体もほとんど透明〜半透明です。初めて見たときは水槽の中で目を こらしても分からず、「本当に孵ったのか?」と何度も覗き込みました。
- 青仔(あおこ) — 少し育って体に厚みが出てきた段階。まだ赤や白の色は 出ておらず、黒っぽい・青光りするような色合いです。
- 黒仔(くろこ) — さらに育ち、金魚らしい体型が見えてくる段階。 ここから徐々に色が抜けて(褪色といいます)、見慣れた赤や紅白の 金魚になっていきます。ちなみにこの色変わりは個体差が大きく、なかなか色が出ない子も いれば早々に真っ赤になる子もいて、待つ時間がまた楽しいです。
この呼び分けを知っておくと、飼育情報を調べるときにかなり便利です。「針仔 餌」で調べれば 孵化直後の話、「黒仔 選別」で調べればもう少し先の話、と欲しい情報に一発でたどり着けます。
そしてもうひとつ大事な話。針仔は孵化してすぐは餌を食べません。お腹にヨークサックという栄養の袋を持っていて、2〜3日はそこから 養分をとって生きています。ここで焦って餌を入れると、食べられないまま水だけが汚れて、 かえって稚魚を弱らせます。私は最初「餓死させたら大変」と思って初日から餌を入れて しまい、水を白く濁らせました。最初の数日は、じっと見守るのが正解です。
針仔の餌は、市販の稚魚用フードでも「大きすぎる」ことがあります
ヨークサックを使い切って泳ぎはじめたら、いよいよ給餌開始です。ここが金魚の繁殖で いちばんつまずきやすいところだと思っています。針仔の口はとにかく小さくて、稚魚用と書かれた市販のパウダー餌ですら、粒が大きくて食べられないことがあります。餌はあげているのに痩せていく、という一番つらいパターンです。
そこで出番になるのが、極小の生き餌です。
- ブラインシュリンプ(孵化したて) — 定番中の定番です。卵を塩水に入れて エアレーションすると24時間ほどで孵化します。孵化したてのものは栄養価が高く、 しかも水中を動くので稚魚の食いつきが段違いでした。専用の孵化器セットを使うと 毎日のルーティンがかなりラクになります。私は最初ペットボトルで自作しましたが、 塩水がこぼれるわ孵化率が安定しないわで、結局市販のキットを買いました。
- インフゾリア(ゾウリムシなどの微生物) — ブラインシュリンプよりさらに 小さい餌です。孵化してまだブラインが食べられないくらいの極小サイズの針仔には、 こちらのほうが向いています。培養に少し手間はかかりますが、 「最初の数日をどう乗り切るか」の答えとしては強いです。
ある程度大きくなって青仔・黒仔の段階に入れば、市販のパウダー餌でも問題なく食べられる ようになります。難しいのは最初の1〜2週間だけ、と割り切ってしまえば気は楽です。
Amazonで「ブラインシュリンプ孵化器セット」を見る卵と稚魚は、必ず親と分けてください
金魚も自分の産んだ卵や、生まれたばかりの稚魚を食べてしまいます。悪気があるわけでは なくて、単純に口に入るサイズのものを食べているだけなのですが、こちらとしては たまったものではありません。産卵床に卵が付いているのを見つけたら、その日のうちに 別の容器へ移すのが基本です。
隔離容器は、最初のうちは小さめのプラケースやサテライト(水槽に引っかける外掛け式の 隔離ケース)で十分です。サテライトは親水槽の水を分けてもらえるので、水温と水質が そろうのがラクでいいですね。この「隔離の考え方」自体はめだかとまったく同じなので、 卵の管理や水カビ対策の細かいところはめだかの産卵床・稚魚飼育用品の選び方のほうに詳しく書いています。あわせて読んでみてください。
Amazonで「稚魚用の隔離ケース」を見るめだかとの一番の違いは、必要な水量です
ここが金魚の繁殖で、私がいちばん見誤っていた点です。針仔のうちは、めだかの稚魚と 見た目もサイズもさほど変わりません。だから同じ感覚で小さめの容器に入れて育てて いたのですが、金魚は最終的にめだかとは比べものにならない大きさまで育ちます。 数か月もすると容器の中がぎゅうぎゅうになり、慌てて大きな容器を買い足すことになりました。
具体的には、こんなところで効いてきます。
- 成長スピードのぶん、水がすぐ汚れる — 稚魚のうちは餌を1日に何度も 与えるので、水の汚れ方も早いです。水量が少ないと汚れの濃度が一気に上がって、 成長が止まったり落ちたりします。
- 過密だと大きくなれない — 金魚は狭い環境だと成長が抑えられます。 せっかく育てるなら、早めに広い容器へ移してあげたほうが、のびのびした体型に育ちます。
- 数はどうせ絞ることになる — 金魚は一度に何百個も産みます。 全部育てるのはまず不可能なので、成長に合わせて手放し先を考えるか、 最初から育てる数を決めておくほうが現実的です。ここは正直、最初に覚悟がいる部分でした。
なので稚魚が青仔くらいに育ってきたら、そろそろちゃんとした水槽とろ過を考えるタイミングです。 サイズと水量の考え方は金魚用の水槽・ろ過フィルターの選び方にまとめてあります。稚魚の水槽はエアレーションも弱めに効かせておきたいので、金魚水槽のエアレーション・エアポンプの選び方もあわせてどうぞ。
まとめ
金魚の繁殖でそろえるものは、突き詰めると産卵床(人工産卵藻が扱いやすい)・隔離容器・極小の稚魚用の餌の3つです。 あとは孵化してから2〜3日は餌を入れないこと、針仔にはブラインシュリンプなどの 生き餌を用意しておくこと。この2つを知っているかどうかで、生き残る数がかなり変わります。
そして忘れがちなのが水量です。針仔・青仔・黒仔と育つにつれて、金魚はどんどん場所を 必要とします。育てはじめる前に「何匹を、どのくらいの容器で育てるか」を決めておくと、 私のように途中で慌てずに済むはずです。めだかの繁殖と共通する基本は産卵床・稚魚飼育用品の選び方(めだか版)にありますので、そちらもぜひ。